仕事におけるインド人攻略法
吾輩はシンガポールで闘う日本人である。名前はまだない。
どこで生まれたかとんと見当がつかぬ。なんでも常夏の国なのに真冬のようにクーラーで冷えたオフィスでぶるぶると震えていた事だけは記憶している。
吾輩はここで始めてインド人というものを見た。しかもあとで聞くとそれはバラモンやクシャトリヤというインド人中で一番獰悪な種族であったそうだ。このインド人というのは時々我々日本人を仕事のパフォーマンスで圧倒して、日本に追い返してしまうという話である。
吾輩はインド人と共に仕事をして彼等を観察すればするほど、彼等は興味深いものだと断言せざるを得ないようになった。ここに、その観察結果をまとめることにする。
競争心、向上心が非常に強い
インドの人口は12億人超で、小学校の頃から1クラスに50人も100人も詰め込まれて授業が行われる熾烈な競争社会であるので、彼らは本当に負けず嫌い。昇進に強いモチベーションを持ち、日々頑張っている。
喋る、喋る、喋る
彼らは本当によく喋る。こちらの話はあまり聞かないこともあるが、少ない情報から筋道を組み立てて、アウトプットをすることが非常にうまい。口下手な日本人は単純な論争だとやられてしまうことが多い。
インド人英語は聞き取りづらい
さらに、独特の訛りと共にマシンガンのように連射されるインド人英語は本当に聞き取りづらい。電話会議はほぼ絶望的。攻略法は馴れるしかない。
長いものには巻かれる
階級社会であるカースト制度に起因していると思われるが、彼らは意外に上司には逆らわない。上司がやれと言ったらとことん努力する一面もある。会社という組織の中でうまくやっていく術を身につけている。
詳細を詰めることはうまくない
深く思考を突き詰めることはあまり得意でない印象。3の準備で10のアウトプットを出せることが出来るゆえの弊害か。「神は細部に宿る」精神で細部を突き詰めるのが日本人の勝ちパターン。
でも、間違いは認めない、謝らない
細部を突き詰めて、論破をしたとしても、さらりと「たしかに僕もそうだと思ってたんだよね」という風に論理変更をするのがインド人。さらには悪いことをしても謝ったのはあんまり見たことない。謝ったら敗北の文化。
陽気でフレンドリー(男性同士のボディタッチは多め)
とはいえ、ギスギスした嫌なところは全くなく、基本的には親しみやすい。日本人のことも好きな人も多い。なぜか、男同士で手を繋いでいたりもするが、それはご愛嬌。
お酒も飲むし、時には牛も食べる
一応、由緒正しいインド人として、お酒を飲んではいけないし、牛を食べるのはもってのほかだけれども、「親には内緒なんだぜ」と言いながらガブガブ飲むタイプも多い。高校生みたいである。
恋愛には奥手
インド人の女性は非常に保守的であるため、結果的に男性も恋愛経験は少なくなるわけである。そうやって抑圧された結果、男女の恋愛関連の話が非常に好きで、異様な盛り上がりを見せる。高校生みたいである。
ここまでの観察結果をまとめるに、我々日本人がインド人と伍していくために、そしてひいては世界で活躍していくためには、まずインド人(とくに男性)と友達になることが大切であると言えよう。外国人に囲まれた環境に置かれた場合は、「まずインド人より始めよ」ということである。
陽気でフレンドリーな彼らは、右も左も分からない日本人を見下したりすることなく、仲良くしてくれる。こっちが喋らなくてもずっと喋っているので、英語が下手でも何の問題もない。あなたが女性だったら、さらに向こうのフレンドリーさは10倍くらいになることだろう。
さらに、お酒を飲みながら、たまに恋愛の話題を提供してあげるだけで大盛り上がりである。こんなに話題に困らない民族はいない。
しかも、そうやっているうちに、気づいたらインド人英語が聞き取れるようになっている。もう電話会議でパードン?を繰り返さなくても分かるようになるのである。いいことづくめだ。
問題をあげるとするならば、お土産で持ってくるお菓子がことごとく美味しくないこと。サバみたいに銀のきらきらしている砂糖菓子は、壁を食べているのかと思うくらい不思議な味がする(ちなみに本物の銀箔を使っているらしい)。これを笑顔で食べきることがチャレンジである。
さらには、スパイスの食べ過ぎなのかは分からないが、身体のオイニーがややスパイシーな人も多い。ここら辺は、口呼吸で是非とも乗り切っていただきたい。
仕事においては、徹底的に準備をして思考の緻密さで勝負をすれば何の問題もない。イメージとしては、彼らが機関銃を連射しているところに、我々サムライは磨きに磨いた刀でズバッと一刀両断するのが勝利パターンである。
と、いうわけで、吾輩はインド人と仲良くする。仲良くしてこの太平を得る。太平はインド人と仲良くしなければ得られぬ。南無阿弥陀仏なむあみだぶつ南無阿弥陀仏。ありがたいありがたい。