僕の見たシンガポール

シンガポールから思ったことを日々更新していきます。

孫正義に学ぶ、最高のリーダー、マーケターのあり方

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7月15日のソフトバンクグループ最大の法人向けイベント「SoftBank World 2014」にて行われた孫正義氏による基調講演を拝聴しました。(こちらの記事を参考にしています⇒孫正義氏が考える”日本復活の方程式”とは? 「ロボットの月給は1.7万円、休日も不要」 ソフトバンクワールド2014【全文】 | ログミー[o_O]

僕の感想を一言で言うならば、

 

孫さんマジハンパないっす

 

でして、やたらと感銘を受けてしまいました。

ただ、このままだと、小学生並みの感想で終わってしまいます。世界に羽ばたくインターナショナルビジネスマン(自称)がこれではいけない。

 

と、いうわけで、皆さんに伝わるように、もう少しちゃんと頭を捻ったので、お付き合いくださいませ。

 

優れたリーダーはどうやって行動を促すのか

TEDに、「優れたリーダーはどうやって行動を促すのか」という2000万回近く再生されたすごい動画があります。(正直、これを見ていただければ僕の今回言いたいことはほぼ終わってしまうのですが。)

ものすごく簡単にまとめると、人を動かすためには、「Why⇒How⇒What」の順で語る必要があるということです。下記のような具体例がスピーチ内で語られています。

アップルが他の会社と同じだったら こんな CM を作るでしょう。

「我々のコンピュータは素晴らしく、美しいデザインで簡単に使え、ユーザフレンドリー。ひとつ、いかがですか?」

いらないですよね?

我々のほとんどはこんなふうに伝えます。マーケティングや売り込みもそう。我々の対話のほとんどが、そんなふうに行われます。何をして、どう違いどう優れているかを述べ、相手に何か行動を期待します。購入とか、投票とかのたぐいです。

(例えば、)私たちは新しい法律事務所を開所しました。最高の弁護士たちと大手のクライアントを抱えています。私たちは常にクライアント第一で行動します。これが私達の車のニューモデルです。低燃費で、シートは総革張り。いかがですか?これでは心を動かされません。


アップルならこんな風に伝えます。

「我々のすることはすべて、世界を変えるという信念で行っています。違う考え方に価値があると信じています。私たちが世界を変える手段は、美しくデザインされ、簡単に使えて、親しみやすい製品です。こうして素晴らしいコンピュータができあがりました」

一つ欲しくなりませんか?全然違うでしょう?買いたくなりますよね?

今したのは情報の順番を逆にすることでした。これが示すのは、人は「何を」ではなく「なぜ」に動かされるということです。人は「何を」ではなく、「なぜ」に動かされるのです。

 

ちなみに、かの有名なマーケティングの大家であるコトラーもその著書「マーケティング3.0」で、マーケティングは年月とともに、「製品志向」⇒「消費者志向」⇒「価値主導」という風に変わってきたと述べており、現代では「社会に対してどんな価値を還元するかを消費者に伝えることが大事か」ということを語っています。

コトラーのマーケティング3.0 ソーシャル・メディア時代の新法則

コトラーのマーケティング3.0 ソーシャル・メディア時代の新法則

 

 

圧倒的にビジョナリーな「Why」

孫さんの今回の基調講演は、まさにこれを体現したスピーチであったと思います。

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皆さんありがとうございました。ちょっとPepperくんの様子を見ていただきました。いろんなアプリケーションがどんどん増えていきます。まだ出たばっかりですから、パソコンも出たばっかりの時は大したことなかったですね。ほとんどおもちゃみたいなものでした。

でも、どんどんと進化し、今、人類はパソコンなしでは生活が成り立たないような時代がやってきました。Pepperくんもその第一号として、パーソナルロボットの第一号として、感情エンジンを持ってやっていきます。

早速われわれの店にPepperくんを入れてみました。そうすると集客効果がありました。銀座店、六本木店、その他何店舗か置いてみたところ、Pepperくんに会いたいということで、お客さんが増えました。

つまり、最初の用途としてはB to Cとして、店に来客を増やすという意味で効果を発揮し始めております。これから全ての人々が、100年以内に、さまざまな生活シーンでロボットと共存するという時代がやってくると思います。

 ここらへんまでは、普通の企業でもやると思うんです。Pepperくんの特徴を実演も含めて説明する。さらに「人とロボットがともに働く時代へ」なんて未来像も描きながら、ロボットが将来的に重要になるよ、なんてことも語ったりする。ただ、これだと心は正直動かされませんよね。

 

孫さんの凄いところは、ここからの「Why」が圧倒的にビジョナリーなところだと思います。

 

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少子高齢化の問題を抱える日本に対して、低賃金かつ休日不要なロボットの導入で、労働人口の減少はカバーができる、ロボット3000万台で製造人口1億人を埋め合わせる、そして「モノづくり大国ニッポン」を復活させると言っています。プレゼンの最後はこう結んでいます。

日本はもう一度、世界一の競争力を取り戻す。「日沈み行く国、日本」ではなく「日出づる国、日本」として復活する。みなさんと一緒に日本を元気にしたいと思います。よろしくお願いいたします。

門外漢なので現実的かどうかは知りませんが、僕は聞いていて圧倒的にゾクゾクしました。世界一の競争力を取り戻す、最高じゃないですか。

 

今まではPepperくんに対しては、正直ソフトバンクASIMOのパクリみたいなイケてないロボットを出したみたいだな」くらいの認識しかなかったのですが、今回ので興味が非常に湧いたので、日本に行った際は目で見て触れてこようかと思います。

 

と、いうわけで、まとめると、今日のリーダーとして重要な事は、

  • 荒唐無稽かもしれないが、非常にビジョナリーな「Why」をぶち立てる。
  • それを心の底から信じきって、社内にも社外にも発信する。

ということですね。

さらに副次効果としては、その「Why」がビジョナリーであるほど、ソーシャルメディアでどんどん拡散していくので、広告費用を懸けることなくリーチが稼げる、というものもあったりします。いやあ勉強になりますね。