早く失敗をすること
「早く」「自分で」プロジェクトを終わらせることの大切さ
Astro Tellerはこの「早く失敗をすること 」の評価の重要性をTED Talksでは説いています。
私たちの秘訣をお教えしましょう。
ムーンショット・ファクトリーは 混沌とした場所なんです。しかし混沌を避けたり、存在しないフリをする代わりに、それを自分たちの強みにしようとしています。
私たちは、何かを壊したり自分が間違っていることを証明しようとして、多くの時間を使っています。それが秘訣です。
問題の一番難しい部分にまずぶつかり、元気良く鼓舞するんです。
「さあ 今日はどうやって プロジェクトを潰そうか?」
これに関しては、Stanfordの授業のSpeechで彼はより一層詳しく語っています。重要なことは下記の2点です。
- 上司による宣告ではなく、自分たち自身によって、
- 本当に失敗をする前に、なるべく早くプロジェクトを終わらせること
なぜなら、上司によって失敗を宣告されてしまうと、「プロジェクトが潰された」と感じ、今後のモチベーションを高く保つことができません。
オーナーシップを持って自分でプロジェクトを終わらせる。それによってそこから学びを得て次のプロジェクトにつなげていく。
その行動を評価されることで、高いエンゲージメントを保ったまま、組織自体の学びを失敗によって重ねることができます。
そしてこのサイクルをより加速させていくために、「何がこのプロジェクトの最大のリスクか」「失敗するとしたら何が原因になるだろうか」というところを、実際に失敗する前に考えさせるというわけです。
まさに、「さあ、今日はどうやってプロジェクトを潰そうか」ということですね。
「潰す」というのは極端な方法ですが、ピクサーでも同じように、ブレイントラストという会議によってこの仕組を回しているようです。
実際の映画が大失敗をする前に、「どこがこの映画の弱い部分か」=「失敗するとしたら何が原因になるだろうか」というところを繰り返し考えさせることで、軌道修正を図っています。
ピクサーでは最初に脚本の絵コンテを描き、それに仮の声や音楽をつけて編集し、リールと呼ばれるラフな映画のモックアップをつくる。
ブレイントラストは、その時点のバージョンを観て、真実味が感じられない箇所、改善できる点、まったく効果のない部分などについて議論する。
ただし、問題を診断するが治療法は指示しない。弱い部分を指摘し、提案や助言はするが、その先どうするかは監督に任されている。
やはり、ここでも最後のオーナーシップは当事者にあるわけで、それによって、モチベーション高く次に向かえるということです。
サラリーマンの正しい戦い方は…
もちろん、誰しもがXやピクサーのような恵まれた環境にいるわけではないです。
あなたの会社が、失敗を許容されない、ガチガチな組織文化のことだってあります。
Astro TellerはStanfordの授業では、「Xのような環境におらず、もしCEOでもなかったらどうやって文化を変えるのか」という質問に対して、下記のように語っています。
一つは、そんな退屈なところはやめてしまうこと。
(略)
もしくは、誰かにサポートをしてもらえるよう頼むべきです。もし彼らがサポートしてくれないようならば、やはりやめてしまえばいい。誰かあなたをサポートしてくれるひとを見つける。
じゃなければCEOになりなさい。この教室にいる半分の人はCEOになりたくて来ているんだろうし、CEOは誰かに許可をとる必要なんてないんです。
…まあちょっとこれは極論ですね。
平均的中間管理職サラリーマンは、いわゆる会社からの目標はもちろん達成しないといけません。そんなサラリーマンのイノベーションの産み方は次のどちらかになるかと思います。
- 会社からの目標は堅実な方法で達成する一方で、失敗する可能性の高い壮大な目標にも常に20%のリソース程度を割きながら挑戦をしていく
- 会社からの目標を達成するために、いくつものイノベーションの種を仕込んでおいて、その中から特大ホームランを出して目標を達成する
そして、自分の組織に対しては、
という変革をしていくことが現実的なサラリーマンの戦い方だと思います。
では、部下の評価もいじれないし、組織の行動基準もガチガチだったならば?上司に言っても、誰に言っても変えられなかったならば?
それこそAstro Tellerが言うように、そんなイノベーションが生まれそうにない会社はやめてしまうというのはありなんじゃないでしょうか。
そんな組織は、きっと先行きが暗いことでしょうから。