僕の見たシンガポール

シンガポールから思ったことを日々更新していきます。

「お腹が空いたらスニッカーズ」から学ぶグローバル企業のマーケティングのお仕事

スニッカーズのおもしろCM

最近、YouTubeでこんなCMを見ました。

 


タトゥー t.A.T.u. スニッカーズ CM 野球篇 - YouTube

舞台は恐らく高校野球。昔懐かしのロシア人二人組ユニットのt.A.T.u.が出てて、思いっきりスライディングくらってぶっ倒れるあたりは結構衝撃的です笑

最後まで見ると、実はこのt.A.T.u.は二人の少年が性格が変わってしまうほどお腹が減りすぎたことの比喩だということが分かります。

だから、「お腹が空いたらスニッカーズ」だと。

 

あえて今、t.A.T.u.を使ってたり、また彼女らがミュージックステーションをサボった古いネタを視聴者に想起させたりして、中々に面白いCMではないでしょうか。

探してみると、ちょっと前に、沢尻エリカバージョンもあったみたいですね。基本の構成は同じで、ここでもエリカ様がスライディングをモロにくらっていたりします。

 


沢尻エリカ スニッカーズ CM サッカー篇 - YouTube

 

で、実は、海外のスニッカーズのCM、Youtubeで検索すると同じようなものが色々と見つかります。


[HD] Exclusive Snickers Super Bowl XLIV 44 2010 ...

 

色々と細部は違いますが、鍵となるアイデアは、

"You're not you when you're hungry"
「お腹がすごい減ると、人は別の人物になったかと思うくらい性格が変わる」
(だからスニッカーズを食べてお腹を満たそう!)

というところで、共通しています。


グローバル企業でのマーケティングのお仕事の流れ

グローバル企業でのマーケティングの仕事というのがこれらのスニッカーズの例から垣間見れます。

ポイントは2つで、

です。

 

このスニッカーズの場合で言うと、(たぶん)アメリカで、まずアメリカのマーケティング部によって、このアイデアを元にした先述のCMが作られました。

で、バカ受けして、おそらくビジネスをよく伸ばしたことでしょう。面白いですもんね。

 

ここで、この成功に目をつけたのが、グローバル全体のマーケティングを担当する部署の方々。

彼らは、簡単に言うと、グローバル全体にアイデアを横展開していくことに、全精力を注いでいる人たちです。つまり、このCMを全世界に展開できないかなーと考えるわけです。

 

さて、所変わって、日本のスニッカーズマーケティング部。彼らの仕事は、日本のビジネスを伸ばすことです。

そのためにも、次の広告をどうしようかな、と考えていたところ、グローバルの部署から、こんないいものが出来たから使ってみたらどうだ、ということでこの"You're not you when you're hungry"のアイデアをもらいます。

 

これは面白そうだ、ということでそのアイデアでCMを作ろうと思いますが、もちろん、このおばちゃんもおじさんも日本では誰だか分かりませんし、アメフトも大して人気ではありません。

さらに、大事なことですが、おそらくターゲットも違います。健康志向が強い日本では、あんまり大人がスニッカーズを食べるイメージがありませんね。きっとアメリカよりもターゲットは若く、中高生ではないでしょうか。

 

そう、つまり地域の特性に合わせたローカライズが必須になるわけです。ここが、日本のマーケティング部の腕の見せ所になります。

と、いうことで、アイデアはそのままでキープをしながら、部活のサッカーや野球に舞台が変わり、馴染みがある悪名高いタレントの沢尻エリカt.A.T.u.に置き換えられていくわけです。

その結果が先述の日本版スニッカーズのCM、ということですね。

 

グローバルのマーケティングのお仕事の醍醐味とは

仕事柄実感しますが、消費者インサイトを捉えた本当に優れたアイデアというものは、ある程度どの国でも通じるものです。しかし、そんなアイデアというのは、本当に無数のアイデアの中から、ほんの一握りしか出てきません。

と、いうことで毎回各国でゼロからアイデアを作ってTest&Learnをするのは非効率なので、基本的には、こういったShare&Reapplyという方式をグローバルに展開する企業は採用しているわけです。

 

働いていて、スペインでこんなのがうまくいったとか、メキシコではこんなことやってたよ、みたいなのをいくつも目にすることができて、ここらへんがそういった仕事の面白みだと思うわけです。

 

もうちょっとまとめていうと、グローバル企業でマーケティングの仕事をする醍醐味は、

  • 各国で通用する本当に優れたアイデアにいくつも触れることができる。
  • 各国ごとの特性を俯瞰しながら学ぶことができる。
  • うまく行けば、自分の作ったアイデアが世界各国で使われることになる。

とか、そんなところにあるなあと思うわけです。

そんなわけで、自分のアイデアが世界中で使われる日を目指して、明日からも我々は頑張るわけなのです。