僕の見たシンガポール

シンガポールから思ったことを日々更新していきます。

民主主義ってもう限界じゃないですかね

こんばんは。タケナカです。

 

先日、日本に帰ってきた時にニュースを見ていたら、話題になっているのが消費税増税衆議院の解散のお話。

今やもっぱら7-9月期のGDPの速報値の前年比1.6%減により、増税延期がほぼ決定ということでメディアを賑わしています。

 

こういう議論を見ていて思うのが、「将来的に膨張し続ける国の借金をどうするのか」「消費税増税はプライマリーバランスの改善のために不可欠か否か」という発想があまりなく、以下の様な人たちが多いように思います。

  • 「10%になって自分の負担が増えるのが嫌だから、増税延期しろ!」(ウチは家計が大変だよ派)
  • 「そもそも税金の無駄遣いが多すぎるはずだ!」(根拠なき無駄遣い派)
  • 「というか、もっと金持ちや大企業から取れ!」(自己中派)

 

あの、そんなこと言っている場合じゃないと思うんですけど…大丈夫ですか?

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こちらが2013年度の歳入と歳出ですが、税金関連を除いたいわゆるプライマリーバランスを健全化させるためだけでも、あと18兆円近いギャップがあるわけです。

無駄遣いの抑制も大事なんですが、25%近い歳出の「無駄遣い」を見つけられる根拠が無い限りは、両方を並行して行うべきだと思うんですよね。

 

下記の記事がいいことを言っていると思うんですが、

財政危機を回避するのに残された時間はそれほど多くないためだ。つまり、財政の限界である。米国アトランタ連邦準備銀行の経済学者リチャード・ブラウン氏らの研究(「Braun and Joines, 2011」)は、政府債務(対GDP)を発散(無限に膨張)させないために、消費税率を100%に上げざるを得なくなる限界の年を計算している。結果は消費税率が10%のままならば2032年まで、消費税率が5%のケースでは28年までとなっている。

同研究は試算していないが、消費税率が8%のケースでは30年頃が限界の年となるはずだ。

 

(中略)

 

現在の議論で欠けている視点だが、増税が遅れれば財政的に同じ効果を持つ税率引き上げ幅は2%より大きくなるためである。さらにいえば、財政を安定化させるためには、最終的にどの程度の税率が必要なのかも議論されていない。

 

前出研究によると、日本がデフレから脱却し2%のインフレを実現した場合でも、今後5年おきに段階的に消費税率を5%ずつ引き上げていき、ピーク時の税率を32%にしなければならない。このシナリオは年金給付などの削減など、相当厳しい状況を前提としている。増税スケジュールを遅らせれば、ピーク時の税率が急上昇し、若い世代や将来世代の負担が増す可能性がある。消費税率を10%に引き上げる痛みを先送りすれば、将来の痛みはずっと大きいのだ。

 

と、いうわけで、増税議論は、もっと中長期的な観点から増税の有無を議論をしていかないとどうしようもないと思うわけです。

(もちろん、景気は税制に関連するので、非常に大事ではあるんですが)

 

だけれども、

 

今の民主主義の現状を見ているかぎり、建設的な議論はこりゃ無理だな、と思うわけです。

なぜなら、以下の3つです。

 

1.国民は痛みに耐えて、中長期的な利益を取るという行為ができない

上にも書いたとおりですが、自分に痛みを伴う話になると、基本的に人間は短期的で直接的なデメリットに着目しがちです。

ここらへんは行動経済学でもよく言われる話でして、

「10キロダイエットするぞ!」「禁煙する」……人は様々な誓いを立てて、そして守ることができません。だれもが「我慢できない自分」と「論理的で、辛抱できる自分」の内なる闘争をくりひろげています。

 

なぜ人は目標が達成できないのか。それは、生物が長期的な利益よりも、短期的な誘惑に極端に弱いからなのです。

ヤル気の科学―行動経済学が教える成功の秘訣

ヤル気の科学―行動経済学が教える成功の秘訣

 

 そう、そもそも生物学上無理なんですね。日本人の半分以上がダイエットに苦労しなくなったら、民主主義はうまく回り出すんじゃないでしょうか。

 

2.特に選挙に大きな力を持つ老人たちは近視眼的な行動に陥りやすい

これは、さらに人間としては当然のことというか。

正直、僕が75歳で、「2030年に日本財政は崩壊する!」と言われても、イマイチピンと来ないですよね。だって高い確率でお亡くなりになってますし。

それよりは「老い先短いワシの生活を苦しくしないでちょうだい」と思うと思うんです。

と、いうわけで社会保障費の削減は困難を極めていくわけです。

 

また、借金関連の話は、高度経済成長期から始まってみたいなので、50年近く聞かされ続けていて、ある程度危機意識が麻痺している可能性は大きいですね。

 

3.政治家は選挙への当選を優先した行動を取る

シンガポールの父、リー・クアンユーも民主主義について下記のように言っていました。

国民に苦い薬を飲ませると、大統領は再選されない。

だから、なすべきことを先送りにし、選挙に勝つために不人気な政策を先送りにする。その結果、財政赤字や債務、高い失業率といった問題は、現政権から次の政権へと持ち越される。

リー・クアンユー、世界を語る 完全版

リー・クアンユー、世界を語る 完全版

 

 

「 もっと崇高な気高い精神を持った人が政治家になるべきだ!」とかは偉そうに言えますが、選挙に負けたら影響力も飯の種も失うわけで、ここらへんはある程度しょうがないところだと思うのです。

 

と、いうわけで。

何かで読んだんですが、民主主義というのは、会社に例えるならば、社長の人事権を取締役もお茶くみの一般社員も新入社員も等しく握っていて、会社の中長期戦略も重大な決断も、彼らに嫌われないように最大公約数で進めなければいけないという状態みたいなものでして。

 

すっっっごい不健康な状態ですよね。そんな企業。

 

なので、外部の監査の目はある程度入りつつ、ジョブズや孫さん、柳井さんといったカリスマが、時に痛みを伴う決断をしながら、強いリーダーシップで引っ張っていくスタイルの方がうまくいくと思うわけです。

 

(そのモデルには日本は大きすぎるって?だったら道州制を導入すればいいんじゃないでしょうか。そこら辺のお話はまたいつか)

「嫌われる勇気」ことアドラーの教えのまとめ

「嫌われる勇気」という本を読みました。

嫌われる勇気―――自己啓発の源流「アドラー」の教え

嫌われる勇気―――自己啓発の源流「アドラー」の教え

 

すごい面白い本でした。新鮮な考え方というか。でも、色々と疑問に思ったことも多いので、それは次回にでもまとめます。

とりあえず、備忘録として、簡単な本の内容をまとめました。

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世界に羽ばたく英語学習法 スピーキング編

つらつらと続けて書いてきた英語学習法も今回で最後、その1(マインドセットと英単語)その2(リスニング)に続いて、今回はスピーキング編です。

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ピーキングは言わずもがな、日本人が最も不得意と言われている分野です。

僕も仕事や旅行で実感するのですが、他の国の人に比べて、圧倒的に日本人は英語のスピーキングが下手です。 

(日本人より下手だと思ったのは、 今のところアジアではベトナムくらいでしょうか)

前項でリスニングが最も大事だと言いましたが、やっぱりグローバルなビジネス環境ではSpeak upすることも非常に大事です。

「ミーティングで発言しないならば、いる価値がない」とまで言われる状況ですので、存在感を発揮していくためにも、スピーキングを鍛えていきましょう。

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世界に羽ばたく英語学習法 リスニング(&リーディング)編

前回に引き続き、英語学習法のお話。今回は、リスニング編です。

 

日々仕事をしていて思うのが、リスニングが最も重要だということです。

どんなにうまく喋れても聞くことができなければ議論には入れません。

 

逆に多少喋りがたどたどしくても、議論の流れを捉えた上でまともな内容を喋れれば、十分に存在感を発揮できます。

 

また、多少文章が読めなかったり書けなかったとしても、時間をかければいいのです。しかし、リスニングは待ったなしです。聞くことができなければ、あっという間に議論に取り残されます。

 

"Seek first to understand, before you are understood" と7つの習慣でも言ってましたし、何はともあれ聞くことから全ては始まるはずです。なので、まずリスニングを学ぶべし、ということですね。

 

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世界に羽ばたく英語学習法

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自分の試行錯誤の経験から学んだ英語学習方法をまとめてみようかと思います。

 

英語学習のトピックは散々話題になっていますが、僕も、かつては英語が全く喋れなかった「超ドメスティック人間」の代表のような人だったので、多くの人が感じているであろう真綿で首を絞められるようなじわじわとした危機感は非常に理解できます。

「英語、勉強しなきゃなー」と漠然と感じながら、何から手をつけていいか分からない。当時の僕もそうでした。大学受験以来、長らく英語に触れないで生きてきたわけです。僕の場合も、英語知識は相当に錆び付いて、埃をかぶっていました。これをピカピカにしたいところだけど、あまりに手をつけるべきところが多すぎて悩んでしまうわけです。

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アイスバケツチャレンジと三島由紀夫と僕らに必要な寛容さ

でもね、もっと驚かないといけないのはね、一人の人間が、本気で伝えたいことも伝わらない、っていうこの事実ですよ。

 

前回、僕がアイスバケツチャレンジを受けたわけという記事で触れた#icebucketchallengeこと、アイスバケツチャレンジですが、NPO法人フローレンス代表理事の駒崎さんがこのようにつぶやいていました。

僕はこれに完全に同意でして、チャリティなのにも関わらず、ものすごい量の人と金を動かしたという点で、アイスバケツチャレンジは圧倒的に優れている活動だと思うわけです。

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僕がアイスバケツチャレンジを受けたわけ

ALSの認知度を上げるために、氷水を被るアイスバケツチャレンジというのが流行っているみたいですが、先日、僕にも、高校の同級生から回ってきてしまったんです

 

そもそも、アイスバケツチャレンジとはなんぞや、というところですが、氷水を被ってALS支援!――世界中で大流行の「アイスバケツチャレンジ」とはから引用すると、

ザッカーバーグビルゲイツスピルバーグ、レディガガ……いま各界の著名人が頭から氷水を被る動画をネット上にアップしている。

これは筋肉が委縮し、身体が動かなくなってしまう難病「筋萎縮性側索硬化症ALS)」の認知度を上げるためにアメリカで始まったチャリティで、名を「アイスバケツチャレンジ」という。

 

ルールは簡単。24時間以内に氷水を被るか、100ドル(1万円)をALS支援団体に寄付すること(あるいはその両方)。そして次の挑戦者を3名指名すること(※あくまで遊びであり、強制性は一切ありません)。

 

いやー、悩みましたよね。やるべきか、やらないべきか。

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