僕の見たシンガポール

シンガポールから思ったことを日々更新していきます。

僕がアイスバケツチャレンジを受けたわけ

ALSの認知度を上げるために、氷水を被るアイスバケツチャレンジというのが流行っているみたいですが、先日、僕にも、高校の同級生から回ってきてしまったんです

 

そもそも、アイスバケツチャレンジとはなんぞや、というところですが、氷水を被ってALS支援!――世界中で大流行の「アイスバケツチャレンジ」とはから引用すると、

ザッカーバーグビルゲイツスピルバーグ、レディガガ……いま各界の著名人が頭から氷水を被る動画をネット上にアップしている。

これは筋肉が委縮し、身体が動かなくなってしまう難病「筋萎縮性側索硬化症ALS)」の認知度を上げるためにアメリカで始まったチャリティで、名を「アイスバケツチャレンジ」という。

 

ルールは簡単。24時間以内に氷水を被るか、100ドル(1万円)をALS支援団体に寄付すること(あるいはその両方)。そして次の挑戦者を3名指名すること(※あくまで遊びであり、強制性は一切ありません)。

 

いやー、悩みましたよね。やるべきか、やらないべきか。

 

こういうのに明るく参加してワショーイみたいなタイプだったらいいんですが、世の中をやや斜めから見ている僕ですから、いろいろな思いが頭をよぎるわけです。さらに、いろいろ調べていると、批判めいたコメントもいくつも見つかるわけです。

 

「もうとっくに流行りは過ぎているのに今更感があるよね」

「なんか勝手に盛り上がっていて、見ているこっちが氷水をかぶるより寒い

「病気の人そっちのけで、盛り上がっている感じは間違っている」

「他にも難病はたくさんあるんだから、ALSだけ盛り上げるのはおかしい」

 

などなど。というわけで、「完全にシカトしようか」とか「いや、藤田晋さんみたいに、寄付だけして氷水かぶらないでおこうかな」とか、一晩延々と悩んだわけですよ。24時間以内にやらないといけないわけで。

 

 

 

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でも、結局、やりました。

 

と、いうわけで本題の「僕がアイスバケツチャレンジを受けたわけ」につながるわけですが、伊坂幸太郎の「砂漠」という超名作に出てくる西嶋というキャラクターのセリフを思い出したことが決め手になりました。

砂漠 (新潮文庫)

砂漠 (新潮文庫)

 

 ちょっと長くなりますが、引用させてください。

「わたしたちが、小銭を入れたくらいじゃ、何の足しにもならないし」「偽善っぽくて嫌」と顔を歪める女の子もいて、「だって、一つの団体に寄付したら、他のところにも寄付しないのって、変でしょ。首尾一貫していないし、そういうのって、単に、自己満足っぽいよね」と誰かが笑った。

 

そこでいきり立って、「何を言ってるんですか」と声を上げたのが、西嶋だった。

「そうやって、賢いフリをして、何が楽しいんですか。この国の大半の人間たちはね、馬鹿を見ることを恐れて、何にもしないじゃないですか。馬鹿を見ることを死ぬほど恐れてる、馬鹿ばっかりですよ

女性陣の顔が曇った。僕と鳥井はまだ免疫があるから、来たな、と身構えることはできた。

「募金箱を抱えている人が、実は詐欺師かもしれない、なんてね、そんなことまで勘ぐってどうするんですか。寄付してやればいいんですよ、寄付してやれば。偽善は嫌だ、とか言ったところでね、そういう奴に限って、自分のためには平気で嘘をつくんですよ」

 

「たとえばタイムスリップしたところで会った町民が病気で倒れるんですよ。死にそうなんですよ。その時にね、あなたたちのポケットに抗生物質が入ってるんですよ。タイムスリップする前に病院で貰った薬ですよ。でもって、それを町民にあげようかと思うんですがね、はたと気付いちゃうんですよ。この時代には抗生物質はまだ存在しないはずだから、ここで抗生物質を使うことは歴史を変えることになるのではないか、なんてね」

 

「さっきの募金と同じですよ。関係ないんですよ!歴史とか世界とかね。今、目の前にある危機、それですよ。抗生物質をあげちゃえばいいんですよ。その結果、歴史が変わったって、だからどうしたって話ですよ。抗生物質をあげちゃえばいいんですよ、ばんばん。みんなに広めちゃえばいいじゃないですか。あのね、目の前の人間を救えない人が、もっとでかいことで助けられるわけないじゃないですか。歴史なんて糞食らえですよ。目の前の危機を救えばいいじゃないですか。今、目の前で泣いてる人を救えない人間がね、明日、世界を救えるわけがないんですよ」

ニーチェも言ってたじゃないですか。『死にもの狂いの剣士と、満足した豚からも等距離に離れていたところで、そんなのはただの凡庸じゃねえか』ってね」

 

そういうわけで、細かいことを考えず、最も多くの人を巻き込むことが出来て、一番貢献することになるであろう選択肢、「氷水もかぶるし、寄付もする」という決断にいたったわけです。

 

We all can make the world a better place than yesterday――僕も、こういうのに参加するのはもちろんのこと、将来的にはこういうActivityを創りだしていきたいものです。

 

 

*ちなみにALSとはなんぞや、というのはこちらをご覧くださいませ。

「ALSよ、くたばれ!」 30歳にして余命数年を宣告された広告プランナー・ヒロが抱いた"怒り"とは? | ログミー[o_O]