僕の見たシンガポール

シンガポールから思ったことを日々更新していきます。

僕のシンガポール生活のエンゲル係数が高止まりなわけ

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こんにちは!家計簿をつけてもいつも3日坊主で終わってしまうタケナカです。

シンガポールに住みだしてしばらくして、気づいてしまったんです。

 

あれ、食費代が日本の倍以上になっている…

 

僕はいつからそんな贅沢な人間になってしまったのでしょうか。このままだと、安西先生に、

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と怒られてしまいそうです。お金持ちの国シンガポール、その空気を吸うだけで、僕はお金持ちになれると思っていたのかなぁ…

 

さて、そんなこんなで目減りしていく預金残高を眺めながら、なんでこんなにエンゲル係数が高止まりするのか、というところを考えたわけで、その研究成果をまとめさせてください。

1. シンガポールは物価高

ここで、日本に住んでいる皆さんに声を大にして言いたいことがあります。

 

「日本のメシは安くてうまい!!」

 

ということです。こればっかりは羨ましいです。

 

これは僕が日本人だから、ということを差し引いて考えてみても圧倒的なんですが、シンガポールの食事は高いんです。だいたい普通のレストランに行くと、ランチは平気で20シンガポールドル(1600円)くらいは飛んでいきます。ディナーだったら3000円くらいは最低するんじゃないでしょうか。

 

一方でホーカーセンターとかフードコートでは4シンガポールドル(320円)くらいでお腹いっぱい食べられたりもするのですが、使っている油が悪いのかなんなのか、だいたい食べ続けると3ヶ月くらいで身体が受け付けなくなるか、体調を崩します。(それでも、ローカルフード愛の僕はよく行きますが)

 

さらに、酒税のせいで、お酒が高いです。僕はあまり飲まないので関係ない、と言いたいところですが、日本人の飲み会文化の「ワリカン」というやつは、日本の2倍近い値段のプレミアムモルツをガバガバ飲む人たちの肩代わりを下戸にも強要してくるため、油断がなりません。

 

2. 価格の心理学 

そういった物価高の他に、心理的要因も散財を容易にします。

1シンガポールドルSGD)が80円と為替相場が言っていても、25SGDと2000円は同じ金額に感じないんです。なぜでしょう?

 

「価格の心理学 なぜ、カフェのコーヒーは「高い」と思わないのか? 」という本に、下記のような面白い記述があります。

価格の心理学 なぜ、カフェのコーヒーは「高い」と思わないのか?

価格の心理学 なぜ、カフェのコーヒーは「高い」と思わないのか?

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人は簡単に意思決定できるように、おおよその価格帯を設定してパターンごとのルールを決めている。

たとえば298円のサンドイッチは「200円グループ」になるが、310円のものは「300円グループ」入るので、強く意識せずに購入候補からはずしてしまう。それを裏付けるのがロバート・シンドラーの実験である。被験者に20ドルと25ドルの商品を比較してもらったところ、その価格差は小さいと認識された。ところが価格を1セントずつ安くして、19.99ドルと24.99ドルにしたところ、その価格差はかなり大きいと感じられ、価格が安いほう選ぶ確率が大幅に上がった。

 この人間の価格感覚が、シンガポールでの(主に僕の)エンゲル係数増加の一因となっているのです。

 

例えば2000円を超えるランチは高いな、という風に思っていたとします。つまり、1000~1999円の1000円グループならまあまあ許容範囲でしょと捉えている場合ですね。

そしてランチメニューが下記のようにあったとします。

本日のパスタ: 1600円/20SGD
パスタセット: 1920円/24SGD
ランチセットA: 2240円/28SGD
ランチセットB: 2480円/31SGD

このとき、日本円だったら、「ランチセットAは高いけど、まあパスタセットくらいだったら食べちゃおうかな」と思うわけです。「パスタだけだとさみしいし、自分へのご褒美にデザートつけちゃお」となるわけですね。シンガポールドルの場合は以下のようになります。

 

まず、慣れない通貨に遭遇した場合、人間は無意識のうちに頭の中で慣れ親しんだ通貨に換算します。なので、「2000円ってことは…まあ25SGDくらいまでだったらいいか」という感覚が作られます。

 

とはいえ、毎度毎度日本円への換算は脳内で行われません。疲れますからね。と、いうことで、次に、慣れない通貨に対しての価格グループ感覚が形成されます。

具体的には、25SGDも28SGDも20SGDのグループでくくられるので、あまり変わらなく感じます。これが日本円だと、1980円のランチと2240円だとだいぶ差があるように感じるのに、です。

こうして、20~30SGDらへんのランチメニューの中から、28SGDのメニューを注文してしまったりします。

 

要するに、慣れない通貨を扱うと、通貨感覚が崩れるため、お金を多めに払いやすいということですね。

海外旅行でついついお金を使ってしまうのは、高まったテンションだけが理由でなく、この通貨感覚の狂いが多分に関与していると思います。

 

3. ++の洗礼

シンガポールでレストランに行くと、++とメニューに書いてあります。例えば「25SGD++」みたいにですね。

可愛らしく、控えめに書いてあることの多いこの++ですが、「サービスチャージ10%と消費税7%で17%追加」というえげつないものです。内税表示?そんなものは義務付けられてないんです。

毎回毎回、ちゃんとこの17%を暗算しながらメニューを読めればいいのですが、そこまで僕の頭は賢くありません。と、いうことで最後にこの「++の洗礼」を喰らうわけです。

先ほどの事例を例に取ると、つまり28SGD++とは32.8SGDのお支払いになります。結果として、1920円のランチを日本だったら選んでいるところを、シンガポールでは32.8SGD、つまり2620円のランチを食べることになります。

 

と、いうことで預金残高を見る度に、僕はこの騙されやすい自分の頭を恨むわけですが、まあ後の祭りなわけで。これらのカラクリを通じて高まるエンゲル係数に、しがないサラリーマンの僕は戦々恐々とするシンガポール生活を送っているのです。