僕の見たシンガポール

シンガポールから思ったことを日々更新していきます。

シンガポールの驚きのカラス事情

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シンガポール鳥事情

みなさんは、このカワイイ鳥をご存知でしょうか。

 

シンガポール在住の人ならご存知だと思いますが、動きがどこかコミカルで、シンガポールでは頻繁に見かける鳥なんです。
シンガポールに来た時から気になっていたので、ある日、シンガポール人の友人に聞きました。
僕「あの鳥ってなんていう名前なの?」
 
友人「ああ、あれね。カラスだよ」
 
僕「えっ、カラス!?」
 
カラスといえば、怖い、汚い、賢いの3Kを欲しいままにしている最強&最恐の鳥。僕も東京にいた頃は畏怖の念とともに、なるべく近づかないように逃げ回っていたのですが、そのカラスがこんなカワイイだなんて!南国の気候はカラスすらも穏やかにさせるんだなあ、と感心しました。
 
それから一年くらいそれを信じきっていたのですが、ある日、スウェーデン人の友人がシンガポールに遊びに来たので、
 
僕「あの鳥知ってる?あれ、カラスなんだぜ!驚きだろ!(ドヤァ)」
 
と、自信満々に語ったところ、
 
友人「何言ってんだよ。あれは、マイナーバードだろ?」
 
と、嘲笑されてしまい、あれはカラスでもなんでもないことが判明して大いに恥をかきました。
 
 
と、ここで、シンガポールではどこでも見かけてメジャーな鳥なのに名前はマイナーバードということが判明したのですが(ここ、笑うところですよ!)、ここでふと疑問に思ったわけです。
 
僕「えっ、じゃあシンガポールにカラスはどこにいるんだ?
 
南国で暑いからカラスは存在しない?
ゴミの処理がしっかりしているから、カラスが存在しない?
カラスも中華系の人には立派なご馳走だからカラスが存在しない?
 
友人「政府がカラスを片っ端から射殺してるから、シンガポールにはいないんだってさ」
 
僕「えっ、射殺?」

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物騒すぎる!
 
そう、正解はシンガポール政府による射殺によってカラスがいないらしいんです。
そしてかのシンガポール人の友人は、カラスは射殺されて尽くしており、まともにカラスを見たことがないから、あの愛くるしいマイナーバードと間違えた、ということらしいのです。ひえー。
 

シンガポール人とカラスの戦いの歴史とその様子

ちなみにシンガポール人とカラスの戦いの歴史は古く、1973年に正式に駆除活動がスタートしたらしいです。
最初は罠だとか毒物とかで対処をしようとしていたものの、賢いカラスたちには効果が薄く、もうこれは射殺しかない、ということで銃が持ちだされたようです。
 
以前は軍人を登用していたようなのですが、今はシンガポールガンクラブという団体に所属する人たちが、政府からの銃弾の無償提供を受け、ショットガン片手に、公園で、港で、空港で、そしてアパートの敷地内でもカラスを殺しまくっているそうです。(Gun Club Hunts City Crows in Singapore -- By Official Requestより引用)
 
ちなみに、別の記事では駆除の様子も描かれています。
ショットガンを手にした男たちが、さながら海兵隊のように、ランドローバーから飛び降りて、その陰にかがんで隠れる。
「奴らに銃を見せるな!奴らは銃を知っているぞ!」そう囁いたリーダーのLimさんは、この道20年来のベテランである。
彼は、バンの後ろから飛び降り、反転して、そして発砲した。「撃て!!
しかし、彼の獲物ーゴミ箱の上に7,8匹いたカラスたち―はすでに姿を消していた。 
なんでしょう、このスリル&サスペンス。どこかの戦争映画でしょうか。(シンガポールの街角の光景です)
 
ちなみに、この記事によると、さすがにオーチャードのど真ん中でショットガン片手に射殺は難しいそうで、カラスはそういったショッピングエリアに集まってくるそうです。さすが賢い!
 
さらに、その記事はこう続けています。
「ウェブサイト編集者としての仕事の傍らにこの仕事に携わって、およそ4万匹ほどのカラスを今までに殺してきた」とLimさんは語った。
彼は、1日に最大197匹も殺したことがある。「撃って、回収して集めるだけさ」
しかし、どれだけ彼が殺そうとも、カラスの卵はどこからともなくやってくる。
シンガポールのカラス駆除は終わりの見えない仕事だよ」彼は語った。
(中略)
「私の妻は、仏教徒で駆除には反対なんだ。時々、罪の意識に囚われることもある。私は『これは国のために必要なことなんだ』って妻に説明をしているんだけれど」
「誰だって、こんな仕事はやりたくないさ」彼は続けた。「でも、誰かがやらなくちゃいけないからね

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Limさん――!!!(感動)
 
この記事が2006年のもので、およそ8年近く前のものなので、今頃累計殺害数の記録を6万匹くらいに伸ばしているのでしょうか、Limさん。
みなさんも、シンガポールの街角で、愛くるしいマイナーバードを見かけたら、時々でいいから、僕らのために戦っているLimさんのことを思い出してあげてください。
 
鈍臭いマイナーバードは、カラスがいたならばあっという間に虐待されてしまっているはずですので、彼らが平和にのほほんとホーカーの残り物を漁っていられるのも、そして我々が疫病に怯えずに平和に暮らせるのもLimさんたちのおかげなのです。
 

まあ、でもシンガポールらしいよね。

…と、まあ、こんな感じで、カラスはシンガポールでは日々駆除されているわけです。生態系への影響?なんですか、それ?
 
個人的には、強すぎるエアコンしかり、蚊などの害虫を撲滅する殺虫剤の散布しかり(シンガポールでは週に一度、定期的に殺虫剤を巻いているため、南国のくせに虫をほとんど見ません)、「よりよい生活のためにはエコロジーなんぞ糞食らえ」なシンガポール政府の考え方は分かりやすくて嫌いじゃありません。(ここらへんは、また機会を改めてちゃんと考察できればと思っていますが)
 
とはいえ、平和主義者のタケナカとしては、お亡くなりになられたカラスのご冥福をお祈りしております。