僕の見たシンガポール

シンガポールから思ったことを日々更新していきます。

結婚のお話、再び。

結婚という甘美な毒」という記事では結婚について少し書かせていただきました。

要約すると、

  • 選択のパラドックスという、選択肢が増えれば増えるほど選択をしづらくなるし、満足をしなくなるという性質がある
  • それによって、結婚をする相手を選択するのも難しくなるし、選択した後もそれに満足しづらくなる(なので晩婚化と離婚が進む)
  • だけれども、結婚はより上位の欲求に挑戦していくためには必要だよね

という話でした。

ちなみに、シンガポールは晩婚化・少子化が著しい国の一つです。やはり、他の先進国の例に漏れず、キャリア意識が強いことで、人生の選択肢が複雑化するため、まさに選択のパラドックスにハマるためだと思われます。

そんな状況を打破するために、シンガポール政府は色々と手を尽くしているようでして、例えば国主催でお見合い系のイベントをやったりしています。詳しくはこちら→

出会い系で応援するほど必死なシンガポール政府の少子化対策 - NAVER まとめ

 

"Beautifully Imperfect" 「素晴らしい欠点」

ここでは、そんなシンガポール政府が作った素敵な広告を紹介させてください。


Beautifully Imperfect - YouTube

 

(葬式会場のスピーチにて)

 

私はここで亡くなった夫デイビッドのいいところを述べることはしません。今日はしません。彼がどれだけよい人物であったかを語ることは、ここにいる皆さんが十分にしてくださいました。

 

代わりに、皆さんをちょっと不快にさせてしまうかもしれない話をさせてください。

はじめに、ベッドで何が起こっていたかをお話いたします。


皆さんは車のエンジニアとして1日が始まるという、大変な思いをされたことがありますか?

ゴォォォキィィィ…(いびきの真似)

デイビッドのいびきの音はまさしくこんな感じでした。

しかし、待ってください。いびき、だけじゃないんです。そこには、走行中の自動車後部の風のような動きも伴ってました。

ある晩、あまりにその動きが力強かったため、デイビッド自身が起きてしまうほどでした。デイビッドは「今の何?」と聞いてきました。私は「犬よ、犬」と言いました。「だからおやすみなさい、あなた」

 

たぶん、皆さんはこれらをおかしな話だと思うことでしょう。

しかし、彼の死が近づくにつれて、病気が最も深刻だった時期には、これらの音は私にとって、まだデイビッドが生きているという証でした。

 

今は、寝る前にもう一度だけあの音を聞くことが出来たならば、と切に思います。

 

結局、最後に覚えていることって、こういう小さなことなんです。こういった些細な欠点(imperfection)が、思い出を完璧なもの(perfect)にしてくれました。

 

だから、私の素晴らしい子どもたちに伝えたいのですが、あなたたちのお父さんと同じように、素晴らしい欠点を持った生涯の伴侶を見つけられることを、私は祈っています。

 

この広告のメッセージは、「相手の些細な欠点はいくつか見つかるかもしれないけど、それも含めてその人と素敵な人生を歩めるもんだよ。(だから結婚しなさい!)」というもので、いわゆる伴侶探しの青い鳥症候群に陥りがちな若者に向けたメッセージです。

 

つまり、無数の選択肢の中から、ベストな選択をしなければと足が止まってしまうよりは、決断を下し、後ろを振り返らず、選んだ選択肢がベストになるように努力をすることが大事だと言うことですね。

 

このメッセージ自体は結婚だけに当てはまることではなく、選択のパラドックスに陥る選択肢が多い時代には、何を決断するにせよ非常に大切なことだと思うのです。

 

Keep Looking, Don't Settle

一方で、かの有名なSteve JobsのStanford Univ.の卒業式のスピーチも、また真実だと思うわけです。


Steve Jobs 2005 Stanford Commencement ...

You've got to find what you love. And that is as true for your work as it is for your lovers. Your work is going to fill a large part of your life, and the only way to be truly satisfied is to do what you believe is great work. And the only way to do great work is to love what you do.

If you haven't found it yet, keep looking. Don't settle. As with all matters of the heart, you'll know when you find it. And, like any great relationship, it just gets better and better as the years roll on. So keep looking until you find it. Don't settle.

 

これは仕事に関して言っていますが、伴侶選びに置き換えてもしっくりきます。

 

ベストだと思う人は見つけた時に分かるし、今付き合っている人なり、いいと思っている人がベストだと思わないならば、その人以外にベストな人がいる、ということですね。

長く付き合ったから、とか、また合コンに行くところからリスタートするのは大変とか、なんとなく別れ辛いからとか、はたまたできちゃったからとか、色んな理由で人々が妥協して結婚してますが、「違うぞ」と、「探し続けろ」と、「合コンに行け」とジョブズは言っているわけです。

 

この2つ、矛盾しているようですが、どっちも真実ですしね。徹底的に探して、これだと決めたら、その決断をベストなものにすべく、努力をしていく。そんなスタイルがよいのではないでしょうか。